今日は何の日?-「なにそれ気になる!」検索せずにはいられない謎の記念日10選(前編)
日本には『記念日』と呼ばれるものが数多く存在します。
大きく分けると、
- 公的機関が定めたもの(例:国民の祝日、時の記念日、防災の日)
- 民間の団体が定めたもの(例:ポッキー&プリッツの日、いい夫婦の日)
の2パターンがあります。
記念日を定める民間の団体も1つではなく、『日本記念日評議会』、『日本記念日協会』、『国際記念協会』など複数あり、それぞれが独自に記念日を定めているため、現在日本には1000に近い記念日が存在しています。
そんな記念日が乱立する記念日国家たる日本ですが、すべてが「おー、それは記念日にして正解だわ」となるものばかりではありません。なかには「なにこれ?」と首をかしげてしまう謎の記念日も存在します。
そんな謎の記念日のなかから、特に謎濃度が濃く、検索せずにはいられない記念日を10紹介します。
- 1.天使の囁(ささや)き記念日(2月17日)
- 2.カチューシャの歌の日(3月26日)
- 3.2文字スピーチの日(5月13日)
- 4.むち打ち治療の日(6月7日)
- 5.10円カレーの日(9月25日)
- おわりに
1.天使の囁(ささや)き記念日(2月17日)
なかなかいい感じの謎具合です。
名前から推察するに、たぶんこういう記念日なのではないでしょうか。
あれはそう、むせ返るほど暑い夏の日だった。
僕と友人は、些細なことで喧嘩した。先に仕掛けたのは僕。冗談のつもりで言った一言が、友人を怒らせてしまったのだ。客観的にみて僕が悪いのは明白だが、「そんなことで怒らなくてもいいんじゃない?」という気持ちもあり、すぐに謝ることができなかった。そんなとき。
『謝ることはないさ。冗談で言ったんだろ?やつの器が小さいだけだ。お前は悪くない』
左の方から声がした。低く粘っこい、悪魔のような声だった。
「そうだ。僕は悪くない。なんであれを本気にする?あいつは度量が狭すぎだ」
僕は悪魔の声に背中を押され、強い態度で友人に物申そうとした。
しかし。
『だめよ』
悪魔とは反対側、右の方から別の声がした。
『悪いのは無神経な言葉でお友達を傷つけたあなた。すぐに謝るべきよ』
少し高く、優しさのある、天使のような声。
僕は混乱した。
左から悪魔、右から天使が交互にささやく。
『謝る理由なんてあるか?あれくらいで怒る友達なんて不要だ!絶交しちまいな!』
『彼はあなたの大切な友人でしょう?こんなことで友情が終わるなんておかしいわ』
『ただ絶交するだけでは甘い!追い打ちをかけろ!胸をえぐるような暴言を吐け!』
『だめ。あなたと彼は今後も仲良く付き合うのよ。さぁ、事が大きくなる前に謝って』
『謝るな!!』
『謝って!!』
『謝るな!!!!!!!』
『謝って!!!!!!!』
「うわぁぁぁぁああああぁぁ!!!!ごめんなざい!!!!」
という、悪魔との戦いに、見事、天使の囁きが勝った。そんな記念日。
でななく。
Wikipediaには、こうあります。
天使の囁き記念日は、1978年(昭和53年)2月17日に北海道幌加内町母子里(もしり)で日本最寒記録の-41.2℃を観測したことを記念し、1994年に制定された記念日である。
制定したのは、天使の囁きを聴く会。少々怪しげな団体名ですが、天使の囁きとは、空気中の水蒸気が凍って出来る小さな氷の結晶(ダイヤモンドダスト)のことだそうで、要は「綺麗な氷の結晶を一緒に見ようぜ」という、若干のパリピ感さえある健全な団体のようです。
天使の囁きを聴く会はこの日、ダイヤモンドダストの観察など厳冬の一夜を体験する「天使の囁きを聴く集い」を開催しているそう。
綺麗ですねー。
出典:天使の囁きを聴く集い
2.カチューシャの歌の日(3月26日)
なんだっけな…あのーあれ、あるじゃん、ほら、AKBのあのカシューシャの歌
カチューシャの歌、というと、AKB48の21枚目のシングル『Everyday、カチューシャ』である。
もし仮に、ストレートに『Everyday、カチューシャの日』にしてしまうとどうなるだろう。記念日というものは基本的に一年に一度。そして、Everydayは”毎日”を英語に変換した単語である。
「3月26日は毎日カチューシャの日!」
どうだろう。ただでさえ、カチューシャがゲシュタルト崩壊してきているのに、追い打ちでこんなことを言われた日には発狂してしまう。
何が本当で何が嘘なのか。何が善で何が悪なのか。何を信じ、何を疑うのか。ひとは何の為に生まれ、どこに行くのか…。
日本中がこうなってしまっては、記念日どころではない。よって、『Everyday、カチューシャの日』は不採用である。
かといって『カチューシャの日』とすると、「あぁ、この日に初めてカチューシャが販売されたのねー」と誤解されてしまい、「てか、カチューシャ懐かしいね。なんか欲しくなっちゃったわ」となってしまって、CD購入に使われるはずだったお金がカチューシャに流れてしまう恐れがある。こんなことをA氏が許すはずがない。
そこで考案したのが、『カチューシャの歌の日』である。
先ほども述べたが、カチューシャの歌、というと、『Everyday、カチューシャ』である。
この誰もカチューシャなんてつけていないこの平成の世で、カチューシャという単語を曲のタイトルに放り込むセンス。カチューシャは誰でも知ってるし、カチューシャを付けた女の子は間違いなく可愛い。キーワード選定が見事である。これほど完璧なSEO対策が未だかつてあっただろうか。凄すぎる。
逸れました。正解を見てみましょう。
『カチューシャの唄』(カチューシャのうた)は、1914年(大正3年)に発表された日本の歌謡曲、ならびに同楽曲を題材にした同年製作・公開の日本の短篇映画である。
楽曲の作詞は島村抱月と相馬御風、作曲は中山晋平。劇団芸術座の第3回目の公演である『復活』の劇中歌として、主演女優の松井須磨子などが歌唱した。また、『復活唱歌』の題名で、松井の歌唱によるレコードが発売された。歌詞の「カチューシャかわいや わかれのつらさ」は爆発的な流行語となった。
この『復活』の初演が3月26日みたいです。
まあそうだとは思ってましたが、AKBは一切関係ありません。
ところで、
”歌詞の「カチューシャかわいや わかれのつらさ」は爆発的な流行語となった。”
とありますが、どう使ったんでしょうね。現代の流行語というのはワンフレーズで耳にひゅっと入ってへばりつくものが多いですが、大正時代の流行語は文章です。「神ってる」のように気軽に、汎用的には使えません。それでも流行したということは、この公演、よほど人気だったんでしょうね。記念日になるのも頷けます。
3.2文字スピーチの日(5月13日)
どれだけスピーチが苦手な人でも、2文字くらいならなんとか耐えられるのではないでしょうか。
司会「それでは全日本猫好き連盟会長の田中さん、2文字スピーチをお願いします」
田中「ねこ!」
司会「ありがとうございました」
こうなります。もはや、スピーチの概念を超越しています。
スピーチとはなんなのか。
なんのためにスピーチは存在するのか。
手に持ったシャンパンが温くなるほどの長いスピーチに意味はあるのか。
2文字スピーチとは、現代社会にはびこる中身が薄く無駄に引き伸ばされただけの害悪スピーチに対するアンチテーゼかもしれません。
スピーチのあり方について深く考えさせられる記念日です。
そろそろスピーチがゲシュタルト崩壊してきたので、ググりましょう。
「2文字スピーチ大賞」とは?
漢字2文字を書き、その漢字を書いた理由や思いを全国の人に知ってもらい、またいろんな人の考えや思いを知ることで、全国の皆さんと共有し、今後の人生に役立てることを目的としています。
出典:一般社団法人 日本あいさつ検定協会 2文字スピーチ大賞2016
漢字2文字かよ。スピーチ2文字じゃないのかよ。
いや、まぁね、成立しないよそんな2文字のスピーチなんて。
「ねこ!」なんてね、いくら全日本猫好き連盟の総会でもありえないっすわ。
4.むち打ち治療の日(6月7日)
すごいの来ました。
生ハムメロン、塩バニラ、おでんカレー…世の中には「いやそれ大丈夫なの?」という組み合わせが数多く存在しますが、これほどまでに「いやそれ大丈夫なの?」感が強い組み合わせには出会ったことがありません。
そもそも、むち打ちとは拷問の一種であり、治療の原因となる行為です。むちで打つことにより、なんらかの病気が快方に向かうのでしょうか。仮にむち打ちでその病気が治ったとしても、傷ついた体は簡単には回復しないのではないでしょうか。
謎です。一体どういう治療法なのでしょうか。Google氏はこう述べています。
一般社団法人むち打ち治療協会が制定。むち打症について正しく理解し、治療を呼びかける。
あ、あ~、むち打ち症ね。車に乗ってて急ブレーキとかかけたときに首がガクンってなるあれね。むち打ち症の治療に関する記念日ね。なんだなんだ。
むち打ち療法かと思っちゃったよ恥ずかしい。
というか、むちで打って治る病気ってなんだよ。あるわけないだろ、そんなもん。
記念日なめんじゃねーぞ。
5.10円カレーの日(9月25日)
安っす!!!!!!!!
しょっぱなから大声出たわ。なんだよ10円カレーて。スプーン1杯分かよ。安いけどめっちゃ少ないやつだろどうせ。結局腹いっぱいになるまで食べ続けてたら普通のカレー一人前以上いくパターンだな。あくどいわー。いやーあくどい。
さぁ、どうなの。弁解してみてよGoogle先生。
このイベントは、1971年の放火により炎上した松本楼が、全国からの励ましにこたえ、1973年9月25日にレストランの再オープンに併せて「10円カレーチャリティ」を実施したのが始まりです。その時の感謝の気持ちをこめ、記念行事として始まったのが「10円カレーチャリティ」です。その思いが今も続く伝統になっています。
(中略)
1997年から一部の年を除き、ユニセフに寄せられているご協力は、これまでの総額で800万円近くにのぼっています。当日のお客様からの募金に、日比谷松本楼からの寄付金を加えて「世界の子どもたちの活動のために」とご支援をいただいています。
出典:日比谷 松本楼 10円カレーチャリティ | 日本ユニセフ協会
悪態ついてすいません。素晴らしい記念日でした。
みんな大好きなカレーでチャリティを開催するとは、考えましたね日本ユニセフさん。
おわりに
1000も記念日があれば、一見して中身が分からないものも多々あります。
今回はその中から選りすぐりの謎記念日5つを紹介しました。
後編は、このあたりから選んでみようかなと思います。
セレンディピティの日
ロカビリーの日
サン・ジョルディの日
メイストームデー
リンドバーグ翼の日
ラッキーゾーンの日
ケロミンの日
ハピカジの日
キャラディネートの日
以上です。