気がつけばしからば

モノだけじゃなく、経験もシェアしよう!ということで、自分が経験したことの中から気づいたエッセンスを綴ります

世界遺産になると何がいいの?-世界遺産になると得られる3つのメリットについて-

世界遺産

先日、上野公園を訪れた際、国立西洋美術館の壁に“祝!世界遺産登録!“という巨大な垂れ幕がかかっているのを目にし「え、なにが世界遺産?絵が??」と軽く混乱しました。

どうやら、2016年7月に『ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献―』という案件のひとつとして国立西洋美術館の建物が世界遺産に登録されたようです。

(これはホットなニュースだ!と思ったのですが、すでに冷めていました)

富士山に比べてあまり話題にならなかったのは、登録承認が棚ぼた的だったのと画が地味だったからでしょうか(失礼)。

 

公園をぶらぶら散歩しながら、ふと「世界遺産のメリットってなに?」と思ったので、考えてみました。

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メリットその1:観光資源化できる

近所の本屋に世界遺産コーナーがあり、そこにあった本のタイトルをざっと見てみると

 

『いつか絶対行きたい世界遺産ベスト100』

『世界遺産に行こう』

『いますぐ行きたい!日本の世界遺産の街を歩こう』

『行ってはいけない世界遺産』

 

など、多くが[行く系]の文言を枕詞にしています。

「絶対行きたい」や「いますぐ行きたい!」という強めの言葉が使われていてもなんら違和感ないことが、世界遺産と観光の結びつきの強さを示しているように思います。

これまで地元の人しか知らなかったものが観光資源となり、半永久的に地域の稼ぎ頭になってくれるのですから、ものすごいメリットです。

 

メリットその2:世界中の人が知ることができる

2007年に世界遺産に登録された石見銀山の観光客数は前年40万人だったところが、登録当年には70万人、2008年には80万人に増加したそうです。

(参考:島根県観光動態調査 平成18年~平成20年)

 

石見銀山は江戸時代前期に世界中で流通する銀の約3分の1を産出したと言われているモンスター銀山ですが、2007年以前の知名度はさほど高くありませんでした。

(地元の人でなければ、知っていたのは大学受験の科目に日本史があった人くらいでしょうか)

それが、世界遺産に登録され、ニュースになったことにより、世界中の人に知られました。

というより、世界中の人が知ることができました。

世界遺産は必ず写真とセットで紹介され、どれもことごとく美しいです。

石見銀山も例に漏れず、壮大な石垣群の写真とともに紹介されています。

世界中の人は、これを見つけることができました。

世界遺産にならなければ一生見ることがなかった美しい景色を見ることができたのです。

 

メリットその3:維持費の援助が受けられる

世界遺産に登録されると、ユネスコから維持や保全のための費用の援助を受けられるようになります。ただし、これは金銭的に裕福でない国に限ったことで、日本の場合はそのような援助はないようです。

また、日本では世界遺産に関する特別な法律はなく、他の文化財と同様、文化財保護法で定められています。

総務省の世界文化遺産の保存・管理等に関する実態調査には以下のようにあります。

 

 文化財保護法では、文化財の管理又は修理は、その所有者(管理責任者又は管理団体がある場合は、その者。以下「所有者等」という。)が行うこととされているが、重要文化財(国宝含む。)及び史跡名勝天然記念物(以下「重要文化財等」という。)について、その管理又は修理に多額の費用を要し、所有者等がその負担に堪えない場合その他特別の事情がある場合は、政府はその経費の一部に充てさせるため、所有者等に対し補助金を交付することができるとされている(第35 条、第120 条)。また、重要伝統的建造物群保存地区の保存のための当該地区内における建造物及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するために特に必要と認められる物件の管理、修理等について市町村が行う措置について、国はその経費の一部を補助することができるとされている(第146 条)。

 

つまり、「基本的に所有者(県や市などの自治体、お寺など)がお金を出して管理してね。ただし、あまりにもお金がかかる場合は援助するよ」ということのようです。

また、世界遺産に登録されたものが建築物でも土地でも固定資産税がかかるのですが、これが3分の1になります(笑)

日本の場合、金銭的な援助という点ではあまりメリットはないようですね。

 

余談ですが

自国の建造物や自然物(山や湖など)を世界遺産にするためには、『世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約』、いわゆる世界遺産条約を批准しなければなりません

(日本は1992年に批准し、翌1993年に『法隆寺地域の仏教建造物』と『姫路城』が日本初の世界遺産に登録されました)

世界遺産条約締約国になると自国にも世界遺産を作れるというメリットがある反面、デメリットもあります。世界遺産基金という形で2年ごとに加盟料を支払わなければならないのです。日本の近年の加盟料は約1,000,000ドル(約1億2000万円)で、アメリカについで第2位の拠出額です。

 

とはいえ、日本が出したお金は自国の財産のみでは文化財を守れないような貧しい国に渡っているので(前述のように、日本のような裕福な国には渡って来ない)、決して無駄に使われているわけではありません。カンボジアのアンコールワットやタイのアユタヤが今日も美しい姿を見せてくれているのは、日本のおかげと言っても過言ではありません(さすがに過言か…)